概要
本シミュレーターは、物件価格の広いレンジ × 表面利回りのレンジを一括走査し、税引後キャッシュフロー(手残り)をプロットします。借入の有無・条件、空室損、経費計算方法(割合/固定費)を切り替えて感度分析が可能です。グラフ上には 黒字領域(カラー)、赤字領域(赤)、および 損益分岐ライン(紫) が表示されます。
入力項目
項目 | 説明 |
---|---|
自己資金(万円) | 購入時に投入する自己資金。借入額=物件価格−自己資金(負なら借入なし)。 |
入居率(%) | 年間の実効稼働率。家賃収入=潜在家賃×入居率。 |
ローン金利(%) | 年率。元利均等返済を前提。 |
ローン期間(年) | 返済年数(回数)。 |
大規模修繕割合(%) | 10年ごとにかかる大規模修繕を、年間家賃の○%として見積り、10等分して毎年積み立て(修繕積立金)とみなします。 |
税率(%) | 税引前CFが正のときのみ課税(簡易モデル)。 |
経費計算方法 |
割合 年間家賃×経費率
固定費 固定資産税(月数換算)+修繕費(%)+管理費(円/月)
|
固定費方式の内訳
- 固定資産税・都市計画税…「年間家賃の何か月分」で概算。
- 修繕費(%)…年間家賃に対する割合。
- 管理費(円/月)…月額を12倍し、万円換算で計上。
計算ロジック(要点)
- 年間家賃(潜在):
物件価格 × 表面利回り
(単位:万円/年) - 実効家賃(空室控除後):
年間家賃 × 入居率
- ローン年返済額(元利均等):
P × r ÷ (1 - (1 + r)-n)
P=借入額、r=年利(小数)、n=年数 - 経費:割合方式なら
実効家賃 × 経費率
/ 固定費方式なら 固定資産税+修繕費+管理費 - 修繕積立:
実効家賃 × (大規模修繕割合 ÷ 10)
- 税引前CF:
実効家賃 − (ローン返済+経費+修繕積立)
- 税額:税引前CF > 0 のとき
税引前CF × 税率
- 税引後CF(手残り):
税引前CF − 税額
- 損益分岐ライン:各価格で 税引後CFが初めて0以上となる最小の利回り。
グラフの見方
- 黒字 カラーマーカー:色は税引後CFの大きさ(凡例「手残りCF(万円)」)
- 赤字 半透明の赤点
- 損益分岐ライン 紫の線(×マーカー)
横軸=物件価格(万円)、縦軸=表面利回り(%)。点をホバーすると、価格・利回り・年間家賃・手残りCFのツールチップが表示されます。
使い方(最短手順)
- シミュレーター realestate_CF.html をブラウザで開く。
- 前提に合わせて 自己資金/入居率/金利/期間/税率/経費方式 を入力する。
- 必要に応じて 大規模修繕割合 や固定費の各項目を調整する。
- 計算開始 をクリックしてグラフを更新。
- 黒字領域のうち、損益分岐ラインより上側で余裕のある利回り帯を確認する。
- 複数の前提(例:金利2.0%・入居率85%など)で繰り返し実行し、感度を把握する。
入力例
例1:自己資金ゼロで15年返済
- 自己資金:0 万円
- 入居率:90%
- 金利:1.5%/期間:15年
- 経費:割合 20%(デフォルト)
- 大規模修繕:家賃の75%(10年ごと)
→ 損益分岐ラインよりどの程度上の利回りが必要かを把握し、物件選定の目安に。
例2:固定費方式(管理費1万円/月)
- 経費方式:固定費
- 固定資産税:年間家賃の1か月分
- 修繕費:年間家賃の5%
- 管理費:10,000円/月
→ 実務に近い固定費構成での感度確認に有効。
FAQ/トラブルシュート
グラフが更新されない
入力後に 「計算開始」 を押してください。ブラウザの拡張機能が干渉する場合はシークレットウィンドウでの動作もお試しください。
単位の混乱を避けたい
金額は基本 万円で計算しています(管理費のみ円→万円に自動換算)。
返済方式は?元金均等にしたい
現在は 元利均等のみ。元金均等に拡張する場合は返済計算式の差し替えが必要です。
税計算は実務と違う?
簡易モデル(利益が出た年のみ単一税率を乗算)です。減価償却・損益通算・金利の損金算入などは扱っていません。
注意点・前提(重要)
- 本ツールは キャッシュフローの概算・感度分析に特化しています。
- 減価償却、諸費用(登記・仲介・保険)、違約金、退去原状回復などは含めていません。
- 表示のカラースケールは 税引後CFの大小で、リスク(空室・賃料下落・修繕突発)を表すものではありません。
- 意思決定前に、金融機関の試算・専門家の助言・現地調査での裏取りを必ず行ってください。
埋め込み・配布
任意のサイトに realestate_CF.html
をそのまま設置するだけで動作します(オフライン対応)。グラフ描画に Plotly
のCDNを使用しているため、インターネット接続が必要です。イントラ環境などで完全オフライン運用する場合は、Plotlyのスクリプトをローカル配布に切り替えてください。
リンクボタンの追加例(トップへ戻る)
<p><a href="index.html">トップページへ戻る</a></p>
更新履歴
- v1.0(初版)本ドキュメント公開。